短編Bプログラム(81分/9作品)

City

「都市」に息づく者たちの「ぬくもり」にフォーカスしたプログラム。


「ソウルに暮らす子猫」
 서울사는 고양이/Cat's Way
 2011/10:30/スギョン、ホン・ウンジ
 Drawing

あるメス猫が、ソウルの再開発指定区域から引っ越すことになった。彼女の送別会をするために3匹のオス猫が集まる。

Director's note
この世は本当に生き辛い!

☆ソウル国際漫画アニメーション・フェスティバル(SICAF)2011 製作支援作

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「善良な人々の町」
 선량한 인간들의 도시/City of Good People
 2011/15:10/ホ・ボムク
 Paper, Drawing, 2D Computer

幼い孫が姿を消した。事件は迷宮入りするが、祖母は事実を認めることができず、一人で山に登っていく。

Director's note
心に受けた深い傷は、どんな方法でも治すことはできないし、記憶から消し去ることもできない。ただ、その事実を受け入れ、じっと耐えるしかない。だからこそ余計に苦しいのである。


「ハトは飛ばない」
 비둘기는 날지 않는다/Doves Do Not Fly
 2011/18:10/ユン・イグォン
 2D Computer

残飯をあさり飛ぶことを忘れたハトが、ある日、フライド・チキンになるのが夢だという雌鶏と出会う。

Director's note
私は誰なのか? 私は何をしたくて、何ができる人間なのか? どのように生きるのが正解なのか? 思春期の少年のような悩みを、今も私は抱えている。これは現在の私の話である。主人公のハトと雌鶏。ハトは世の中に適応して器用に生きているが、太りすぎで飛ぶことを忘れている。雌鶏は死が待つと分かっていても、鶏として生きることを貫き、フライド・チキンになろうとする。自分が誰なのか、何ができるのかを忘れて生きるハトも私であり、自分を見つけるためにやりたいこと、できることを探す雌鶏も私だ。未だに終わりが見えず、結論も出ない悩みを、今の自分が一番得意な方法で人々に伝えてみたかった。

★インディ・アニフェスト2011スペシャル・メンション
☆第15回(2011)プチョン国際ファンタスティック映画祭
☆ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012 インターナショナル・ショートムービーショウケース部門
☆Madimation国際アニメーションフェスティバル2012(スペイン)

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「片想い」
 짝사랑/One Sided Love
 2011/4:15/ユン・ジナ
 Drawing, 2D Computer, Rotoscope

我が子に対する親の愛は「片想い」と同じだ。

Director's note
文明の発達により生活は便利になったが、親と子どもの間には、今も変わらず葛藤が存在する。見返りのない愛情を与えてくれる両親に対し、傷付けることしかできない子どもの心情を代弁し、両親に謝罪するのが本作の目的である。


「LANGUAGE」
 랭귀지/LANGUAGE
 2011/3:30/キム・イェオン
 Paper, Drawing, 2D Computer

少女は外国語を必死に勉強し海外旅行をする。しかし現地では思わぬ出来事が彼女を待ち受けていた。

Director's note
自分がコミュニケーションの難しさを経験して感じたことを、日記を書くようにアニメーションで表現しようと思いました。


「VIEWPOINT」
 관점/VIEWPOINT
 2011/7:00/ファンボ・セビョル
 Drawing, 3D Computer, Rotoscope

幼少期に受けた心の傷がトラウマとなって、髪の毛の塊になってしまった少女。彼女の本当の姿とは?

Director's note
精神分析家のイ・ムソクは「自尊心や劣等感は客観的な基準に基づくものではなく、観点(Viewpoint)の問題だ」と語る。この作品を通じ、これまでの人生で様々な傷を受けて自尊心を失ってしまった人々に「それはあなたの観点の違いが原因なのだ」と伝えたかった。あなたは相当に辛い経験をしたのだろうが、だからと言って自分を蔑む必要はない。自分で自分を低く評価しているから見すぼらしく感じるのであり、あなたは十分に魅力的な人間なのだ。まずは主人公の視点で記憶を遡り、過去を回想してみる。次に彼女がそれをどのように感じ、認識したのかイメージ化させる。そして、それが実際の姿とはどのように異なるのかを伝えるのが目的である。この作品に現れる状況やイメージは、あらゆる人々の経験を象徴しうるものであり、様々な立場からの解釈が可能だと考える。

★インディ・アニフェスト2011観客賞
☆第11回(2012)チェコ・アニフェスト コンペティション部門
☆第16回ソウル国際漫画アニメーション・フェスティバル(SICAF2012)公式コンペ短編一般部門

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「ラクダたち」
 낙타들/Camels
 2011/10:30/パク・ジヨン
 2D Computer

昔恋人だった男女が再会する。男は何かを探し求めて彼女の元を去った。女は何度となく別れを繰り返し、今や砂漠をさまようラクダのような心境だ。

Director's note
嵐のような感情に包まれていた青春時代はいつしか過ぎ去り、今は次第に薄れていく記憶とともに、荒涼な砂漠を渡っている気分だ。オアシスを発見するような楽しみもない。この『ラクダたち』は、二度と戻ることのない、今この瞬間の感覚と感情を書き残した日記のようなものである。

★インディ・アニフェスト2011審査委員特別賞
☆第12回(2011)チョンジュ国際映画祭
☆オタワ国際アニメーションフェスティバル2011 短編コンペティション部門
☆アヌシー国際アニメーション映画祭2012 Official Selection部門

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「Ah」
 아/Ah
 2011/5:14/イ・ソンファン
 Object

色鮮やかな原色のレゴ・ブロックで組み立てられた物体が、人間のように動き回っている。しかし、色を失った真っ白なレゴは全く別物のように見える。

Director's note
アニメーションは、人間が持つ固定観念を扱う作業である。しかし、その固定観念のうちの一つでも欠けると、私たちは混乱に陥ってしまう。

☆アヌシー国際アニメーション映画祭2011 Graduation films部門
☆第15回(2011)プチョン国際ファンタスティック映画祭

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「City」
 도시/City
 2010/6:28/キム・ヨングン、キム・イェヨン
 2D Computer, 3D Computer

すべてが人で成り立ち、人で一杯になった都市「ソウル」。「都市」という空間をそこで生活する生身の人間の営みだけで描いた注目作。

Director's note
「ソウル」と聞いてまず浮かぶイメージは「そびえ立つ高層ビルとアスファルト、真っ黒な煤煙と騒音」でした。しかし、よく観察してみると、ソウルという都市は全て人間によって作り上げられていることが分かりました。四方を塞ぐ無数の壁が消えた都市の姿を想像すると、初めてソウルの体温が感じられ、その息遣いが聞こえ始めました。

★インディ・アニフェスト2011一般部門優秀賞
☆第14回(2011)文化庁メディア芸術祭

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