現実とファンタジーを行き来する物語は、現実へと回帰する。
人生の中盤をとうに越えた女たちには、クッキーとコーヒーとお弁当が必要だった。都心の喧騒のただ中に位置する公園。4人の中年女性がピクニックにやって来た。ひたすらに食べて飲み、笑って語り合う彼女たちに、正解はない。
この年代の女性たちは、受け入れられなくとも、笑ってやりすごさなければならない差別を経験してきた。人生の長さだけ与えられた数々の呼称は、勲章なのか? あるいは宿題なのか? 自分にとっての正解が、他人にも正解であるとは限らない。年齢を重ねても起こりうる難問だ。一緒にいても、一人でいても、私たちはいまだに時々孤独で、時には恐ろしく、時には途方に暮れる。でも今日だけは、シンプルに軽やかに、愉快でいよう!
●カン・ミンジ:花コリ2008『吹き出物』、花コリ2009大阪会場ゲスト来日『紙一枚』、花コリ2011『猫我(ミョア)』、花コリ2012名古屋会場ゲスト来日『Natural Urban Nature』、花コリ2017大阪会場ゲスト来日『Before&After』
●キム・ヘミ:花コリ2008『Private Beach』、花コリ2016名古屋会場ゲスト来日『Little King』、花コリ2018『パシャッパシャッ』
●イ・ギョンファ:花コリ2012リレー『The Water ~ 船頭多くして ~』、花コリ2013『アンダーグラウンド』、花コリ2015リレー『Peace Dream』、花コリ2017名古屋会場ゲスト来日、花コリ2018リレー『休日の平和』
●ハン・ビョンア:花コリ2012大阪ゲスト、Link into Animated Korea2008『みなが孤独な星』、花コリ2012『淑女たちの一夜』、花コリ2018リレー『休日の平和』『ミセス・ロマンス』、花コリ2021『宇宙の果て』
葬儀業のパラと孫娘マリとの、別れをめぐる物語。死を準備していたパラにも、逃げられない最後の時間が訪れる。自分の亡き後一人取り残されるマリに、人生と死について語る。
人生の終わりは誰にでも訪れる。その時間はゆっくりとやって来ることもあるが、準備する間もなく、近づくこともある。最も近い存在と遠い存在、そして自分自身をはじめ、私たち全員は死を避けられない主人公なのだ。作品を通じて、死に対する感情を柔らかに語ってみようと試みた。 視覚的には、漫画のコマを応用してイメージを演出した。
再開発地域で一人暮らす老人が、野良猫の葬儀を行う物語。
どんな人生にも意味がある。存在し、消えていくものへの労い。
パク・セホン監督と彼のストップモーションの人形たち、仙女と木こり、そして妖怪の物話。
デジタル時代の最近、アナログ的なものは徐々に消えています。
手作業のアニメーションも、最近は減っています。
もちろん、効率を考えれば当然の結果です。
それにもかかわらず、今でも、どこかで誰かがアナログ方式のアニメーションを制作しています。 そして、これは彼らの物語です。
★審査委員特別賞、観客審査団賞
*2019大阪会場ゲスト『妖怪進撃図』
[関連記事]
・花コリ2019大阪会場トーク録:『妖怪進撃図』パク・セホン監督
望むだけで何でも手に入れられる魔法を、失ったセジン。何を望んでいたのかも思い浮かばぬまま、魔法は消えてしまった。通訳案内士の面接試験を6時間後に控え、彼女は父親を救うため、嫌悪していた海へと向かう。
望むことさえできれば、叶えるのは時間の問題だ。
望みを忘れないことが難しい世界で……。
私を愛していると言う世界に染み込んだ、私ではないものは何だろう。
★東京会場ゲスト★
★大賞
※花コリ2011『Kopi Luwak』、花コリ2014『学校へ行く道』
失われたもの、また戻ってくるものについて。
ペルソナに浸食されていく過程。
徐々に暴かれる自我とペルソナの乖離に、恐れを感じた。
★学生部門優秀賞
山鳥の殺害事件をめぐり、裁判を受ける老人。事件の顛末を理解するため、裁判長は老人の過去を探っていく。老人が少年のころに参加した演劇『幸福な王子』が始まる。劇中でツバメを演じる少年は、ツバメが受ける不当な扱いを悔しく思うが、誰も彼の立場を察してはくれない。
人間の最大の欠点の一つは「偽善」だと思う。他人が過ちを犯すと、誰もが簡単に石を投げるが、自分の過ちは見逃してしまうことが多い。自分に関係ないことは冷静に責め立て批判しながら、自分のことは都合よく合理化しようとする。こうした偽善は、特定の誰かの欠点ではなく、誰にも自然なこととして蔓延していると感じる。作品の視聴者もまた人間ゆえ、各自の方法で偽善的になる場面があるだろう。作品から何かしらの違和感を覚えて、自分を含む人間社会に蔓延した偽善を、自覚できたらいいと思う。
★デビュー賞
少年は父親の愛を渇望するが、父親は釣りにしか関心がない。ある日、父親が肺炎でこの世を去ると、少年の喪失感は父親の所有物への執着に変わる。
多くの人が、つらく悲しい時、自分だけの洞窟に入る。自尊心が崩れ落ちてそこに閉じ込められることも、憎しみや怒りをそこから吐き出すこともある。私たちは、憎しみや怒りが自身をむしばむことを分かっている。その中で生き続けることはできない。
★KIAFA特別賞
映画祭監督メッセージ
※花コリ2013東京ゲスト『Noodle Fish』、花コリ2019『Dancing Frog』
[関連記事]
・キム・ジンマン「Noodle Fish」スタジオ訪問記by KIAFA
老人ホームで老人たちは頭を刈られる。そこで働く主人公は老人たちを観察するが、彼らの表情は読み取れない。しかし、ある瞬間から、彼らの顔を眺めるようになる。
経験に基づいた物語。朝鮮戦争を経験した高齢者を若い世代は理解できず、高齢者も若い世代の喪失を理解できないが、ある瞬間、主人公は過去の世代について考えるようになる。僕は、時代の断絶が、韓国が抱えるさまざまな問題を作った大きな原因だと思っており、最近のように寛容さを失う時代に、他人のことを真剣に考える必要性を感じ、制作した。
★大阪会場ゲスト★
★一般部門優秀賞、観客賞
映画祭監督メッセージ
※花コリ2016『Material Girl』、花コリ2020『死の商人』
この映画はダンテ没後700周年を記念企画として、「新生」から「神曲」の地獄編・煉獄編・天国編に続くダンテとベアトリーチェの再会の物語を再解釈して作られた。「今」、若い我々はどこにいるのか。どこへ向かえば良いのか。
2020年から続いているこの状況。我々は何でも自由に選べる。死を選ばず、生をも、愛をも選択出来る。新しい世界の到来。自己愛と他者への愛を重ね合わせて向こうの世界へジャンプしよう。これはまさしく若くて脆い我々への献呈詩。
★音楽・サウンド部門特別賞
音楽監督:佐藤亜矢子
※花コリ2020で上映したソンヨンソン監督の『創造的進化』でも、佐藤亜矢子さんは音楽・サウンド特別賞を受賞しています。
人生のかたちを“建てる”建築家Aは、過去の痛みに勝てず建築をあきらめた。だが依頼人である老婦人の家を建てながら自身の痛みに向き合い、長いこと途中のままだった自分の家を完成させる。
建築家Aは、依頼人とともに依頼人の人生を探検し、その中で家を建てるための材料を収集する。その過程で、Aの依頼人は自身のこれまでの人生を反芻する。建築家Aもまた、過去に出会った依頼人たちの姿を見て、自分の過去に向き合い、大小の成長を遂げる。『建築家A』は、人がそれぞれに抱く心の奥の痛みに淡々と向き合い、より良い人生へと歩み出そうとする人々の物語である。
★映画祭開幕作
※花コリ2018大阪ゲスト『星が輝く夜に』
アジアの声、アジアのかたち
縮んだはずが膨らんで、浮かんだときは沈んでる。 離れたつもりが繋がって、見てると思えば見られてる。 観察、記録、実験しながら日々を紡いだ、いとをかしアニメーション詩。
★東京会場ゲスト★
『Amayi』は、自身の過去と、村の次の割礼者になるかもしれない未来という、二つの悪夢に苦しむ女の物語である。自らの役割に従って娘の割礼をせよと定められた時、彼女は村の伝統や慣習には従えないと悟り、戦うことを余儀なくされる。
★アジア路賞
激しい台風の夜、都会の高層ビルに暮らす中年男性が、豚肉と野菜のスープを作る。湯気とともに漂うスープの香りが、彼の記憶を呼び起こす。彼の思い出はネコに変わり、昔のうららかな円楼へと帰っていく。円楼の外では、客家(ハッカ)族の女性たちが干し野菜を作るのに忙しい。
江戸時代末期の日本。小さな村に山火事が迫る四日間。村へ戻った男から遠山の火事が知らされ、村人たちそれぞれの中に恐怖の火が宿る。 子を授からなかった女・セツが山火事に対峙した時、何を見るか。
★大阪会場ゲスト★
※花コリ2019リレー『ラストメッセージ』
独特な方法でトイレットペーパーを使う男。着替えるのが面倒でいつも出前を頼むカップル。皿洗いを避ける家族。食卓をピカピカに拭き上げるのが好きな女。なんて便利な世界だろう!
バイセクシャルシスマンというレッテルを貼られ、孤独な戦いを続けるアミルの物語。
吾輩は公園の橋の下に住む犬である。ワォ~ン
★観客賞
家族の暗い過去の秘密が不意に明かされ、親友の間に深い溝ができる。ドイツ人で黒人のジェニファーは、自分が悪名高いナチス司令官の孫娘であったと知り、人生が激変する。一方、イスラエル人のノアは、自分の人生が変わらぬよう、あらゆる手を尽くす。
二人のトップランナーが作り出す、新感覚コミック・スリラーの世界
家具デザイナーのソンミは、友人の紹介で新たな会社へと転職。だが、会社のチーム長であるミンジェは仕事にとても厳格で、ソンミは彼に毎日いじめられる。ある日、酔っ払ったソンミはミンジェ反抗するが、勢いで二人の唇が触れてしまい……。その翌日、ミンジェはベッドマットに変身していた。
典型的なロマンチックコメディ映画に、キャラクターアニメーションの特長を織り交ぜてみようと試みた。
★KAFA特別賞
※花コリ2008「わたしのコーヒー・サムライ -自販機的な彼氏-」、花コリ2010「ボクの友達子ジカくん」、花コリ2015「ウリビョル1号とまだら牛」、花コリ2020「魔王の娘、イリシャ」。2018年よりKIAFA会長を務める。
「俺も社長をやる!!」
腹立ちまぎれにハンバーガーショップを立ち上げた、3人の仲間たち。店の工事中、壁から謎の白骨死体と3億ウォンの現金が入ったカバンが見つかった。彼らは、“投資金”の名分でその金を使うのだが……。そして、謎の骸骨に「マイケル」と名付けて「4人目の仲間」として迎え入れる。
『マイケル』は、“就職”と“起業”という若者たちの大きな関心事を、軽妙な“コミックスリラー”の形式により表現した作品です。
没入感の高いストーリーと魅力的なキャラクターを用いて、韓国のストーリーI.Pをアニメーション作品として開発し、韓国内の市場をはじめ全世界での放映を目標に企画されました。
韓国でウェブドラマ化の話題作、日本でプレミア上映!
★名古屋会場ゲスト★
★長編部門観客賞