コロナで遠ざかってしまった私たちの間をつないでくれる、あなたと私の“In-between”なアニメーション!
「インディ・アニフェスト」受賞作はもちろん、さまざまな物語がつづられた韓国のインディーズ・アニメ―ション作品を厳選しました。
例年にも増して多様に描かれた、人と人の“あいだ”。実験的なスタイルから、韓国社会の姿を浮き彫りにするストーリー、環境へのメッセージまで、多彩な作品の数々をお見逃しなく!
ある人がいた。彼の体は大きすぎて、水を飲むことも服を着ることもできなかった。もどかしくなった彼は、結局家を壊して出て行く。 彼は生まれて初めて見る“キラキラしたもの”に魅了され、その光を探しに旅に出る。
小さく存在する人生は、いつも簡単なことではない。
いつもの日と変わらない午後、家が浸水し始める。
短編アニメーションでしか伝えられない感性と演出方式により作品を作ることで、私たちを取り巻く環境への問題意識を喚起します。
*花コリ2011『EATING』
彼女は青い海の中で輝く鱗を持つ魚を見つける。 時間が流れ、彼女と魚の間には特別な絆が生まれる。
『鱗』は私の物語を込めて作ったアニメ―ションです。 人ならば誰でも持ちうる感情と変化を表現しようとしました。
放課後の掃除の時間のたび、他の友達の机をこっそりのぞき見して時間を過ごしていたジェスは、ある日、いつも完璧だと思っていたウォンジェがうっかり落としたネックレスを見つけ、嘘をついてしまう。
物語の中では、ジェスはウォンジェに強い劣等感を持っている。そんなジェスの劣等感はカラスで、完璧に見えるウォンジェの姿はネックレスで表現される。同時に、ウォンジェの輝くネックレスは、彼も他の子どもたちと変わらぬ平凡な人物へと転落させる。
人々はジェスの分身のようでもあり、またウォンジェの輝くネックレスのように完璧でな存在でもない。自らの欠如を認め、ありのまま見つめられる視線こそが、前に進む勇気であると思う。この作品が、隠しておきたい感情を否定せず、いちど向き合ってみるきっかけになればと思う。
★観客審査団賞
乾電池パパは、子どもたちのおもちゃや、リモコン、ドアロックなど、家の隅々で活躍している。
そんなある日、乾電池パパは人間と一緒に渓谷へ旅行に行く。せっかくの楽しい時間を過ごしている最中、突然の大雨で渓谷があふれ、みんなが孤立してしまう。
乾電池パパは、人々が安全に救助されるよう懐中電灯の中から全力で明かりを灯すが、雨は止まず、電池切れの危機が迫る……。
私たちは多くのものから、さまざまなエネルギーをやり取りし、生きていきます。
乾電池パパの物語も、誰かに暖かなエネルギーとして伝わったらよいと思います。
★KIAFA特別賞
*花コリ2016『2人の少年の時間』、花コリ2017『行ってきます』、花コリ2019東京ゲスト『土曜日の多世帯住宅』
旅をしながら絵を集める子ども。 砂漠の中で廃墟となった村を見つけ、そこで犬の落書きを発見する。 落書きを追いかけて村のあちこちを歩き回った子ども、はある瞬間幻想に陥り、幻想の中でありし日の村の姿を見る。
いつもと変わらず平凡な日常を過ごしていても、突然死について考える時が来ることもあります。
その時に感じる感情と思いを、子どもを通して表現しようと思いました。
★学生部門優秀賞
休戦中においても高まり続ける葛藤を扱った短編アニメーション。
全体的には、国楽と一緒に、華やかさというよりは淡々と、物語を進行させようと思いました。また、ライティングをほとんど使わないことで3Dのボリューム感を減らして、キャラクターたちの目鼻立ちの周辺と、特に背景で光を少し強調して用いて、ファンタジックな印象を与えようと試みました。
また、キャラクターの感情が大事なストーリーだと思ったので、主にチェストアップショットで撮影しました。
★デビュー賞
絶望的に自尊心の低い少女が学校の希望へと生まれ変わり、生徒会長選挙に出馬する。
成長する過程で誰もが悩む「自尊心」についての問題を、共感を得られるヒューマニズムとコメディーを用いて表現し、「自尊感」について悩む観客に勇気を与えられるようなアニメーションを制作しようと思いました。
★KAFA特別賞、観客賞
*花コリ2017『みんなのゲーム』
ただ楽しみのため恐怖を求める人々の欲望を満たす、正体不明の怪物についてのブラックコメディ。
理由もなく、人々を無慈悲に殺す映画のジャンルがある。人々は、残酷だと叫びつつもそれを大型スクリーンで見るためにお金を出し、出かけていく。 さらには、命を担保にした器具がずらりと並んだ場所を「遊園地」と呼ぶのだ。 このように、恐怖とは素晴らしいおもちゃである。 現実では絶対容認されない残酷なファンタジーに熱狂する人々。 その欲望の矛盾と皮肉を、奇怪な生命体「肉食もやし」を通して表現したい。
アンタクト(非対面)時代を生きる私たちの生活を振り返り、コミュニケーションとつながりの意味を、アニメーションによりひも解いてみる。
リレーアニメーション
透明なイメージが重なり合い、音楽に合わせて現れては消えることを繰り返す。
アニメ―ションの古典的なツールである「セル」を最大限に活用した事典的なアニメーション。
7歳のポリは、田舎での変化のない日常が退屈だっだ。 農繁期のためみなが忙しく働く中、一人だけ暇を持て余す。
一緒に遊ぶ友達が必要なポリには、人生は思い通りにはならない。
この作品は、孤独な少女だった私の物語である。 私たちは孤独がなければ成長できない。孤独は悪いことだと言う人々の言葉に反論したい。
★一般部門優秀賞
*Link into Animated Korea2009『飯食うべ』、花コリ2010『アザー・シーズン』、花コリ2015『Peace Dream』
韓国のハワイと呼ばれる済州島では、解放直後に米軍政の統制下で「4・3」と呼ばれる事件が起き、当時の島全体の約10人に1人が犠牲になった。大量虐殺の嵐から生き残った子どもたちが、70年の歳月が流れた今、その日の記憶をアニメーションで証言する。
観光で多くの人が訪れる済州島には、約70余年前、「済州4・3」と呼ばれる国家暴力による民間人虐殺で家族と隣人を失いながらも、その地で生き続けてきた人々がいる。 力で制圧しようとする軍警と抵抗する武装隊の衝突の中を生き抜かなければならなかった民間人たち。 特に、理念とは関係なく母の手を探していた子どもたちが目の前で家族を失ってから70年の歳月が流れ、おばあちゃん、おじいちゃんになったにもかかわらず解決していない済州4・3の名分の問題は、現在も対立する理念の狭間で漂い続けている。 若くして失われた人々の人生は、何によって償われるのだろうか? それでも、70年間余り語られなかった言葉に耳を傾け、彼らが目撃したことを絵に移し込み、静かに、しわだらけの手をカメラで見つめながら、時間をさかのぼってみようと思う。
名古屋花コリプレイベント『할망바다』『ウサギとカメの物語と言ってもわからん』、花コリ2012リレー『The Water ~船頭多くして~』、花コリ2018名古屋ゲスト『花咲く手紙』
両目をサングラスで隠した少年がゆっくりと赤いテーブルに足を運ぶ。
そのテーブルには誰かによっておもちゃのレールがセッティングされていて、少年はおもちゃの汽車をレールに置いてスイッチを入れる。おもちゃの汽車がレールの上を走ると遊戯が始まる。
登場人物達の行動やその意味を、パズルをはめていく感覚で楽しんでもらえるように作品を演出した。
★音楽・サウンド部門特別賞:鳥羽山 沙紀(音楽監督)
*花コリ2014『MAZE KING』、花コリ2017『Jungle Taxi』
少女の遊び場で発見された少年。 少女のリードで始まった遊びは、次第に少年の遊びに変わり、少女は、もはや自分の遊び場が以前と同じではないことに気づく。
私たちは新しい関係を築くことに、年齢を重ねるほど慎重になる。第一印象で誰かを拙速に判断してしまい、その判断によって、相手の関係を続けるかどうかを決める。 これは、私たちが幼いころから絶えず「決して知らない人について行ってはいけない」という言葉を言い聞かされてきたからなのか? それとも、単に過去の関係に疲れたからだろうか? それでも監督は、見知らぬ存在との冒険を選ぶ。真昼の白日夢とるのか、恐るべき悪夢になるのか分からぬまま……。
監督は、過ぎた日のトラウマとして残ったこの記憶を直視し、直接的なトラウマ的経験から自らを徐々に分離して、適正な距離から客観的に俯瞰できる一人の観察者として位置づけた。
★審査委員特別賞
*花コリ2010『view』、花コリ2017『Insect Bite』